シリーズ過去記事 1
前回紹介した、パレスチナ人クリスチャンの神学者、ヨハンナ・カタナチョー師の詩を、作者の許可を得て翻訳します。これは2014年のガザ侵攻に際して発表されたものですが、現在のパレスチナ/イスラエル情勢にもそのまま当てはまる内容だと思います(原詩はこちら)。
続きを読む祈りII―詩的変奏―
黒く乾いた炭の上に
一片の香を そっと載せ
静かに 火を待ち望む
やがて火がともると
一すじの祈りが生まれ
炉の中でくゆり立つ
祈
り
は
香
の
煙
の
よ
う
に
細く
細く
天に
向かって
のぼり
たゆたい
ひろがり
やがて 虚 空 に 消 え る
祈りが終わったとき
世界はいつものように回り続け
天は黙って見下ろしている
あとに残るのは
堂に満ちる芳香 静寂 そして
雪白の灰
イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。 ・・・彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。(マタイの福音書2章1-2、9-10節)
東方の博士たちが星に導かれて幼子イエスを拝みに訪れた話は、聖書にあるクリスマスの物語の中でも、ひときわ印象的なエピソードです。
教会の降誕劇などでも馴染み深いこの話ですが、一般に知られているストーリーには、聖書に書かれていない要素もあります。 続きを読む
祈り
神の霊が
炭火となって
心に火をつけると
祈りが始まる
祈りは
香の煙となって
天に向かって
立ち昇る
祈りは立ち昇り
たゆたい
ひろがり そして
虚空に消えていく
残るのは沈黙のみ