Eshet Chayil(勇気ある女性)

5月4日にレイチェル・ヘルド・エヴァンズが37歳の若さで亡くなりました。彼女がここ2週間ほど昏睡状態に陥って危険な状態にあったことは知っていて祈っていましたが、それでも彼女のあまりに早い死に大きなショックと悲しみを覚えました。

過去記事()でも取り上げたように、私は長年彼女のファンでした。彼女のブログをフォローし、新しい本が出るたびに手に入れて読んできました。

レイチェルは私の個人的知り合いではありませんでした。実際に会ったことはもちろん、メール等でのやりとりをしたこともありません。けれども、作家であれミュージシャンであれ、自分が賞賛し、そのアウトプットをリアルタイムでいつも楽しみにしてきた同時代人の死に触れる時、個人的な知り合いの死とはまた違った独特の悲しみと喪失感があります。最近読んだある本で、それは、もしかしたらその人物と持つことができたかもしれない友情が失われる切なさであると書かれていて、深く納得しました。ユーモアと機知に富んだ彼女の文章にもう触れることができないと思うと、とても寂しい気持ちです。

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進化(深化)する信仰(1)

先進的な仕事をする学者や思想家はたくさんいます。しかし、すぐれた思想家が必ずしもすぐれた書き手であるとは限りません。逆に、たとえその道の専門家でなかったとしても、現代の重要な思想を自らの人生経験のうちに内面化して、平易な文章をもって表現することに長けた人々もいます。キリスト教界で言えば、最先端の神学をより身近で親しみやすい形で一般のクリスチャンに紹介する、そんな人々の役割はたいへん重要なものだと考えています。なぜなら、神学は象牙の塔に閉じこもるのではなく、教会に仕えるものでなければならないと思うからです。

私にとってそんな魅力的なクリスチャン著述家の一人が、レイチェル・ヘルド・エヴァンズです。 続きを読む

『焚き火を囲んで聴く神の物語・対話篇』書評

以前紹介した本ですが、私も執筆者の一人に加えていただいた焚き火を囲んで聴く神の物語・対話篇』の書評が『本のひろば』9月号に掲載されました。評者はこのブログでもおなじみの藤本満先生です。

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藤本先生は本書の魅力を的確に、分かりやすく紹介してくださっていますが、特に強調しておられるのが、本書はいわゆる対談集ではない、ということです:

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N・T・ライト著『使徒パウロは何を語ったのか』について

いのちのことば社から出版されたN・T・ライトの『使徒パウロは何を語ったのかについて、同社の月刊誌『いのちのことば』6月号に短い紹介文を書きました。これは「聖書を掘り下げる――豊かな福音理解を求めて」という特集の一部で、岡山英雄先生によるリチャード・ボウカム著『聖書と政治』の紹介記事とともに掲載されました。字数の関係で本格的な書評という形では書けませんでしたが、これをきっかけに多くの方々がこの本を手にしてくださることを願っています。

その原稿を、同誌の許可をいただいてブログにも掲載します。

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