聖書の物語的分析は、近年の聖書学の中でも重要な位置を占めるようになってきました。私の博士論文も、ルカ文書の物語的分析の手法を取り入れたものでした。
ところで、四福音書の物語分析に関して、新しい本が出ましたので紹介したいと思います。

これは Jeannine K. Brown, The Gospels as Stories: A Narrative Approach to Matthew, Mark, Luke, and John (Baker Academic, 2020) です。著者のジェニン・ブラウン博士はベテル神学校サンディエゴ校の新約学教授であり、広く使われている英訳聖書 New International Version (NIV) の翻訳者の一人でもあります。同時に、ブラウン先生は私がベテル神学校に留学した時に聖書学を教わった恩師でもあります。当時先生はミネソタ州のセント・ポール校で教えておられましたが、私はこの先生の聖書解釈学の授業で大きな感銘を受けたことがきっかけで、聖書学の道に進むことを決意しました。
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