祈りII(詩)

祈りII―詩的変奏―

黒く乾いた炭の上に
一片の香を そっと載せ
静かに 火を待ち望む

やがて火がともると
一すじの祈りが生まれ
炉の中でくゆり立つ











細く
細く
天に
向かって
のぼり
たゆたい
ひろがり
やがて 虚 空 に 消 え る

祈りが終わったとき
世界はいつものように回り続け
天は黙って見下ろしている

あとに残るのは
堂に満ちる芳香 静寂 そして
雪白の灰

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