祈りII―詩的変奏―
黒く乾いた炭の上に
一片の香を そっと載せ
静かに 火を待ち望む
やがて火がともると
一すじの祈りが生まれ
炉の中でくゆり立つ
祈
り
は
香
の
煙
の
よ
う
に
細く
細く
天に
向かって
のぼり
たゆたい
ひろがり
やがて 虚 空 に 消 え る
祈りが終わったとき
世界はいつものように回り続け
天は黙って見下ろしている
あとに残るのは
堂に満ちる芳香 静寂 そして
雪白の灰
これは以前に掲載した詩「祈り」のヴァリエーションです。
(本ブログは当記事で300回目の投稿となります。お読みくださっている方々に心から感謝します。)