主と共にあるアイデンティティ

2015年に行われたGlobal Returnees Conferenceについて書いたことがありますが、今年の5月にもGRC18が行われることになり、今回は講師の一人としてお招きをいただきました(公式サイトはこちら)。朝の集会で聖書講解を担当させていただくことになります。

集会に先立ってJCFNのニュースレターのために短いメッセージを書きましたので、許可を得て転載します。

*     *     *

主と共にあるアイデンティティ~GRC18への期待

みなさん、こんにちは。GRC18で聖書講解を担当させていただく、山﨑ランサム和彦です。

私の名前にある「ランサム」はミドルネームではありません。「山﨑ランサム(Yamazaki-Ransom)」がファミリーネームです。アメリカ人の妻の旧姓がRansomで、結婚したときに複合姓にしました。日本とアメリカの両方の文化を結合した、キリストにある新しい文化を創りだしていきたいという願いから、二人の名前をつなげることにしたのです。それ以来、私たち夫婦、そしてその後与えられた3人の子どもたちも、「山﨑ランサム」家に属する者、という新しいアイデンティティに生きるようになりました。

GRCの参加者は、海外で生活した経験を持つ方が多いと思います。そのような帰国者の方々は、名前を変えるとまではいかなくても、さまざまなアイデンティティの変化を経験してこられたと思います。海外では「外国人」「エスニック・マイノリティ」としてのアイデンティティ、そして日本に帰ってきてからは「帰国者」のアイデンティティ・・・海を渡る前の自分と、帰って来てからの自分は同じではありません。

何より、みなさんの多くは、海外でクリスチャンになるという大きなアイデンティティの変化を経験されたと思います。日本にいた時は知らなかった天地の創造主なる神さまを知り、イエス・キリストの十字架の愛を知って、主のために生きる存在に変えられた。これは喜びに満ちた、すばらしい大変化です! 日本に帰ってきたみなさんは、以前の自分と同じではありません。イエス・キリストにあって、神さまの子どもとして新しく生まれた存在なのです(ヨハネ1:13、2コリント5:17、1ペテロ1:3)。みなさんはこの世にありながら、天の国籍を持つ者に変えられました(ピリピ3:20)。

けれどもその一方で、アイデンティティが変わることによって、大きな困難にぶつかることもあります。

自分が変わると、世界に対する自分の見方も変わりますし、自分に対する周囲の見方や態度も変わります。私は日本でクリスチャンになりましたが、それでも6年間のアメリカ生活を通して、さまざまな葛藤を経験しました。そして「帰国者クリスチャン」という新しいアイデンティティをもって日本で生活し始めた多くの人々が、異教社会のプレッシャーや日本のキリスト教会への違和感など、さまざまな困難を経験しておられるのも見聞きしてきました。GRCに興味を持って参加したいと考えている方々には、そんな悩みを持っている人が少なくないかもしれません。

そんなとき、イエス・キリストに目を向けてみてください。

イエス・キリストは、神の御姿である方なのに、身を低くして人として生まれてくださいました(ピリピ2:6-8)。いわば、天と地を一つに結びあわせた新しいアイデンティティを持ってくださったのです。しかし、主にとってこの世は生きやすい世界ではありませんでした。「この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった」からです(ヨハネ1:11)。それでもイエスさまは受肉したご自分のアイデンティティを放棄されることはせず、十字架の死に至るまで、それを生き抜いてくださいました――ただ私たちへの愛ゆえに。ですから、主はみなさんの悩みや苦しみに共感してくださるお方です。

GRC18のテーマは「Dwell~主は私達と共に住む~」です。イエス・キリストが、日本に生きる私たちとともに歩んでくださるのです。教会で働かれる聖霊を通して、そこで語られる聖書のみことばを通して、神の家族である兄弟姉妹との交わりを通して、そのことを体験することができます。GRC18がみなさんにとって、このアイデンティティ、「主と共にあるわたし」を実感する機会となることを、心からお祈りしています。