聖書のグランドナラティヴ再考(1)

聖書を真理の命題を集めた百科事典や道徳の教科書のように読むのではなく、一つの首尾一貫した物語として読むというアプローチは、最近日本でも注目されるようになってきました。私もこのテーマについて書かれた、ヴォーン・ロバーツ著『神の大いなる物語(いのちのことば社)を翻訳させていただきました(過去記事)。

旧新約聖書全巻を貫く「大きな物語」はグランドストーリーgrand storyとか、グランドナラティヴgrand narrativeあるいはメタナラティヴmetanarrativeと呼ばれますが、この記事では「グランドナラティヴ」を用いたいと思います。グランドナラティヴとは、聖書の個々の書巻や細かいエピソードを理解するための背景となる、すべてを包括する大きな物語のことです。

物語(ナラティヴ)には、きまったストーリーライン(プロット、筋)があります。ストーリーラインはいくつかのできごとの意味のあるつながりとして捉えることができます。聖書のグランドナラティヴを考える時、聖書全体がどのようなストーリーラインを持っているかを考えることは大切ですが、これまでいろいろな提案がなされてきました。 続きを読む