聖書に関するDVDと翻訳書2点

このところ多忙のため、更新が一ヶ月以上滞ってしまいました。最近の活動について、2つほど紹介します。

NaruhodoGBP

まず、『なるほど!聖書』(リバイバル聖書神学校)というDVDを出しました。これは聖書についての入門的レクチャーを収録したもので、次の2つのビデオ(それぞれ約30分)から構成されています。

1.なるほど!聖書の全体像(平岡修治師との対談)
2.なるほど!聖書の読み方

このうち、「全体像」では聖書とはどのような本であるかについて説明し、「読み方」では実際にどう読んでいったら良いのかについて、いくつか具体的な提案をさせていただいています。信徒向けの平易な聖書解釈学という感じの内容になっています。

ところで以前、JCFNが主催したGlobal Returnees Conference 2015についてご紹介したことがありますが、5月末にシカゴ郊外でおこなわれた同団体主催のCentral Conference 2016でもワークショップを担当させていただきました。その時は、「聖書を読む喜びをあなたに」と題してお話しさせていただきましたが、内容的にはこのDVDとほぼ同じものでした。(ちなみに、集会自体もたいへん素晴らしかったです。)

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もう一つの活動として、ヴォーン・ロバーツ著『神の大いなる物語(ストーリー)』(いのちのことば社)を近日中に翻訳出版させていただくことになりました。原著はVaughan Roberts, God’s Big Picture (Intervarsity, 2002)です。

これも上のDVDと同じく、聖書の全体像を把握することを主眼とした入門書です。本書は「神の国」をキーワードに、聖書全体を一つの首尾一貫したストーリーとして読む視点を提供するものです。各章の末尾にはグループ学習のためのスタディ・ガイドもついています。

「訳者あとがき」で私は次のように書きました:

宗教改革以来のスローガンである「聖書のみ」を標榜するプロテスタントのクリスチャンの信仰生活において、聖書が中心的な地位を占めていることはいうまでもありません。しかし、理念上の重要性とはうらはらに、実際に聖書が多くの人々によって読まれ、理解されているかというと、はなはだ心許ないというのが正直なところです。熱心に毎日聖書を読んでいるクリスチャンでも、その聖書理解は断片的な聖句知識の寄せ集めに終わっていて、それらの聖句がどのようにつながって、一つの大きな物語をなしているのかについては、よく分からないという方が多いようです。本書はそのような方々にとって、聖書の全体像を把握する格好の手引きとなることでしょう。

正直に告白しますと、訳者は本書で提示されている改革派神学の立場とは必ずしも軌を一にする者ではありません。しかし、あえて翻訳をお引き受けしたのは、聖書の全体像を把握することがクリスチャン信仰の歩みにおいて決定的な重要性を持っているという著者の主張に心から同意したからです。読者の皆様も、個別の聖書箇所の解釈や、神学的立場に関してたとえ著者と同意できない部分があったとしても、本書の学びから受け取ることのできる祝福は大であると思います。本書を通して、一人でも多くの日本のクリスチャンが、聖書の素晴らしさを体験し、それを通してイエス・キリストに近づいてくださることを願ってやみません。

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今回ご紹介したDVDと書籍は、どちらも聖書を首尾一貫したナラティヴとして読もうとする視点と、一般向けの入門的内容という点で共通しています。『なるほど!聖書』の中でジョージ・ハーバートの詩(この過去記事を参照)を紹介していますが、そこで歌われているように、聖書の各部分を個々の美しい星として眺めるだけでなく、それらがつながってどのように一つの壮大な星座を描き出しているかを味わっていただけたらと願っています。