昨日5月11日(月)、日本福音主義神学会中部部会の春の公開講演会が金山キリスト教会を会場に開かれました。毎年中部部会の春の講演会は、中部以外の地区の先生を講師としてお招きしていますが、今年は関野祐二先生(聖契神学校校長)をお招きして、「『福音』とは何か」というテーマでお話しをいただきました。
関野先生は昨年11月に関西聖書学院で行われた福音主義神学会の全国研究会議でも、教理部門の主題講演を担当されました。こちらのサイトにその時のレジメと講演動画(部分)がアップされています。その講演内容を元に、『福音主義神学』45号に「震災後の日本における福音主義神学の教理的課題」という論文を発表しておられます。
これらの講演及び論文では、現代福音主義神学の多様な課題を概観する内容になっていましたが、今回の中部部会の講演会では、さらにテーマを絞って、「福音」についてお話しをいただき、ディスカッションの時を持つことになりました。
「福音(良い知らせ)」は単に「福音派」と呼ばれる人々だけでなく、すべてのキリスト者の信仰の基盤であり、中核であるべきものです。しかし、クリスチャンは「福音」をあまりにも身近に感じているがゆえに、その言葉の意味内容を良く把握しないままで使ってしまっている部分があるのかもしれません。また、近年英米の福音主義キリスト教会の内部でも、罪の赦しと魂の救いに特化した個人主義的な福音理解を超えて、福音とは何かを改めて問い直す動きが起こってきており、そのような問題意識は日本でも共有されるようになってきました。その象徴的な事件が、スコット・マクナイトの『福音の再発見』が邦訳出版されたできごとでしょう。今回の講演会でも、約20名の方々が参加してくださいましたが、これは小所帯の中部部会にしては多い方でした。このテーマへの関心の深さを伺わせます。
当日は私が司会を務め、まず先生から約90分の講演をいただき、それを受けて会場からの質疑応答とフリーディスカッションの時を持ちました。自分と異なる見解を最初から切り捨てようとするのではなく、相手の立場を尊重した実り多いディスカッションができたと思います。後で関野先生からいただいたメールでも、「講演会では、従来の福音派でははじかれてしまうような話も皆さんがよく聞いてくださり、ディスカッションにも加わって、いわゆる『斜に構える』ような方が誰もいらっしゃらなかったのが幸いでした。」とおっしゃっていただけました。
「『福音』とは何か」というテーマでは、当ブログでも以前に投稿したことがありましたが(その1 その2)、関野先生はまた少し違った視点からこのテーマにアプローチしてくださいました。私自身も大変良い刺激を受け、多くを学ばせていただくことができて感謝しています。
余談ですが、関野先生とは講演会前に中部部会の理事会と昼食をご一緒しながら楽しい交わりの時が与えられました。天体観測がご趣味という先生は、同じく天文マニアのT理事と星や望遠鏡の話で大変盛り上がっておられました。講演会の後はすぐに東京に戻られ、聖契神学校で夜の授業を教えられたということです。お忙しいスケジュールの中、名古屋まで来てくださった関野先生と、参加者の皆様に感謝いたします。
さて、肝心の先生の講演内容については、次回の投稿でご紹介したい思います。その際、本ブログ初となる、ある試みを行おうと考えています。
(おことわり:私は中部部会の理事長という立場にある者ですが、このブログ記事の内容はあくまで私個人の見解であり、中部部会の見解を代表するものではありません。)