聖書(ジョージ・ハーバート)

長いシリーズが続いたので、軽めの短い記事もアップしていきたいと思います。

ジョージ・ハーバート(George Herbert, 1593年4月3日 – 1633年3月1日)はイングランドの詩人で、信仰にあふれた詩を多数残しています。今日はその中でも特に私の好きな詩を紹介します。

The Holy Scriptures II.

O that I knew how all thy lights combine,
  And the configurations of their glory!
  Seeing not only how each verse doth shine,
But all the constellations of the story.
This verse marks that, and both do make a motion
  Unto a third, that ten leaves off doth lie:
  Then as dispersed herbs do watch a potion,
These three make up some Christian’s destiny:
Such are thy secrets, which my life makes good,
  And comments on thee: for in ev’rything
  Thy words do find me out, and parallels bring,
And in another make me understood.
  Stars are poor books, and oftentimes do miss:
  This book of stars lights to eternal bliss.

 

聖書 II

おお、そなたのすべての光がどのように結び合っているのか、
  また、それらの栄光の配列が、私に判ればよいのだが!
  そなたの各節がいかに輝いているのかをのみでなく、
物語(はなし)が織りなす星座をも みな見究めながら。
この一節があの一節に目を留める、次にこれら二節が 十頁も離れた
  もう一節に 合図を送る。
  それから、ばらばらの薬草が互いに結び合って一服の良薬を目指すごとく、
これら三節は あるキリスト者の運命(すくい)を つくり上げる。
まさにこの通りだ そなたの不思議は。その真実を 私の生が立証し、
  そなたに註解をほどこすわけだ。そなたの言葉は
  万事(すべて)のうちに私を見つけ、対比を持ち出し、
他のものにより 私が理解されるようにもしてくれるのだから。
  星辰は哀れな書、しばしば誤つ。ところが
  きら星のこの書は 永劫の至福への道を 過たず照らし出す。

            (鬼塚敬一訳『ジョージ・ハーバート詩集』より)

 
私が特に好きなのは、「そなたの各節がいかに輝いているのかをのみでなく、/物語(はなし)が織りなす星座をも みな見究めながら。」の部分です。ハーバートが個別の聖句の内容だけでなく、全体的な物語(ナラティヴ)のうちに聖書の素晴らしさを見出していたことが分かります。

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